94年に第一回目の雷蔵映画祭を開催した直後、ルナティック代表橋は閉館の危機に瀕
しました。某情報誌のライターをやっていた私に次の上映作品の資料を渡しながら、
「とうとう小屋を閉めることになりました」と肩を落としていたのが昨日のことのよ
うに思い出されます。どうにか危機を免れ、今回、第二回を開催することになったの
は本当に感無量です。橋にとって雷蔵映画祭は大赤字を出してもやりたい、究極の企
画なのでしょう。
私もこの1回目の雷蔵映画祭で初めて雷蔵に出会いました。観れば観るほど魅了され
る俳優----それが雷蔵に対する印象です。「炎上」の純朴な素顔をさらした迫真の演
技、「眠狂四郎シリーズ」のドキリとさせる妖艶な姿…。作品によっていろいろな顔
を見せる彼は日本を代表する俳優のひとりといえるでしょう。ジェームス・ディー
ン、ジェラール・フィリップを例に出すまでもなく、芸術の神に魅入られた俳優で
あったのは確かなはずです。
今回上映する中で、橋のオススメは「斬る」「剣」「剣鬼」の剣三部作と「大菩薩
峠」の三隅研次監督の作品群だそうです。三隅監督については黒沢清監督があるイベ
ントで、「尊敬すべき巨匠としては黒澤明さんとほぼ同世代で、特に黒澤明が得意と
していた活劇という分野では、三隅研次のほうが面白いのではないかと思う。もっと
世界的に評価が上がってもいいはずだとも思っている。」と発言されています。上記
の作品群はまさに活劇。これは見逃せ得ません。大きなスクリーンでこそ映えるのが
雷蔵。どうかルナティックのスクリーンで雷蔵に出会ってください。(特にお若い
方々!、きっとはまりますよ。)