「Relax relax and the world is beautiful」 デビット・リーン監督「旅情」より



 映像を念頭に置き直訳すれば、「肩の力をぬきなさい。そうすれば世界は美しい」ということになるのだろうか。 K・ヘップバーン扮するアメリカの“自立”した“女の子”(アメリカでは50才までは“girl”と呼ばれると彼女自身が説明するシーンがある)が初めての海外旅行でベニスを訪れる。失われた時を取り戻すための旅行でもある。胸の奥にロマンスの期待を抱いている。そして、R・ブラッツィ扮するイタリア人の男性と知りあい互いに心ひかれるのだが、彼の誘いに素直に答えられないヘップバーン…。そんな場面でのブラッツィの言葉が冒頭のセリフである。

 ビデオの字幕では、「肩の力をぬけば楽になる」とあった。ストーリーの展開を無視した味もそっけもない訳だと思った。というわけで、今回はナリジナルの英語(私のhearing が正しいとの仮定)で書いてみた。

 実を言うと、私も「肩に力が入ってちゃクリーンヒットは打てませんよ」とよく友人に注意される。そういう時、「長年肩に力を入れてきたのだから急に抜けばかえってぎこちなくなる」と思うことにしている。しかし、肩に力が入って素直に世界や人生を美しいと感じられない人間は、世界や人生の美しさが汚されようとする時、反撃のクリーンヒットをうまく打てないのでは?と思うこともある。


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