「人々よ希望を失ってはならない。・・・・諸君は機械ではない。人間だ。心に愛を抱いている。」 チャプリン監督「独裁者」より



 「愛」という言葉は、キリスト教文化圏の人々にとって特別な意味を持つようである。

 アメリカ映画でよく見かける場面にこんなのがある。男と女が激しく言い争っている。日本人の我々からみたら信じられないような手厳しい言葉を互いに浴びせているが、ハッと我に返り相手の顔を見詰める。そして「愛してる」と一言。今までの激しいやりとりがウソのように二人抱合う。

 このように「愛」という言葉には、妙薬としての効果がある。しかし反面、現実の深刻な問題を直視せず先送りしてしまうことにもなりかねない。先の例で言えば、男と女が激しくやりあった問題は全く解決していないのである。この点をとらえて特に日本のインテリ層は、「愛」という言葉にうさん臭さを嗅ぎとるらしい。

 私は心情的に「愛」の妙薬としての効果を信じたい。冒頭のチャップリンのメッセージは私の心に深く刻まれている。そして、全世界の人々の心の中に勇気を与えてくれる言葉として生きていると思いたい。

 今年はチャップリンそしてヒットラー生誕百周年の年である。


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