言葉あるいは行為は、その発せられるあるいは為される状況によって違った意味を持つ。例えば、リゾート開発あるいは高速道路建設のため、農地・山林・宅地の提供を拒否している人に対して発せられる「地域全体の振興のためだ。自分のことばかり考えるな」といったセリフは反対に理不尽なものになる。
そして、すぐれた活劇娯楽作品として楽しめる「七人の侍」にも公開された状況下では、異論があった。(この作品が公開された1954年は、自衛隊誕生の年であった)
佐藤忠男氏は後年、次のように書いている。「私には、このストーリーが当時重大な政治問題となっていた自衛隊の存在を肯定し、その必要性を宣伝するもののように感じられた。……この時代が真に必要としていると思われる映画とくらべると、『七人の侍』はむしろ私をいらいらさせた」
そして今回久しぶりこの作品を見た時、私は冒頭のセリフを聞いて、己の便利さ、快適さ、「豊かさ」のみを追求し、地球環境を破壊し、他の地球上の生物種を絶滅させている我々人類の事を思い起こした。