「狂人があなた方に向かって、あなた方は恥ずべきだと言わなければならないとしたら、いったいあなた方はどんな世界に住んでいるのですか」 タルコフスキー監督「ノスタルジア」より



 物語の最終部、狂信者ドメニコが命を賭けて人々に「あなた方は間違った道を進んでいる。引き返さなければならない。生の根源へ戻らなければならない。自然は単純なのです」と訴える演説の中の一節である。ドメニコは世界の破滅を信じ、人類の救済の道を訴えるのだが、聴衆は全く無関心である。誰も今の悲劇的状況に気が付いていない。しかし今、「チェルノブイリ」「フロンガスのオゾン層破壊」「地球の温暖化」「酸性雨」「エイズ」など崩壊する地球と人間の状況を目の当たりにした我々には、ドメニコの言葉が胸に突き刺さる。


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