映画手帖-2000年7月30日


 昨日「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」を見た。先回公開の時見逃していたのだが、橋本さんに是非見ておくべきだと薦められた作品である。キューバ音楽の老ミュージシャンを追うヴィム・ヴェンダース監督のドキュメンタリー映画であるが、作品に流れるキューバの音楽に癒される。ユパンキのフォルクローレを聞く感覚と同じである。懐かしいセンチメンタルな感傷に浸ることができる。画面の粒子が粗いのがより効果的である。ヴェンダースはデジタル・ムーヴィー・カメラで撮影している。才能のある人は筆を選ばずということか。
 音楽だけではなく老ミュージシャンを見ていても癒される。ああいうふうに人生を生きたいと思う。政治の波に翻弄された人生だったと想像されるが、彼らは愚痴をこぼさない。音楽が好きという事で満足している。人生はおもうようにいかないけれど、彼らの背筋は凛としている。前屈みではない。
 葉巻好きなギタリストでヴォーカルそしてもう一人ピアニストの老ミュージシャンを見ていると、「ナビィの恋」のおじぃ恵達を思いだした。こちらも沖縄の老ミュージシャンである。大阪通信で山野-Eさんが書かれているとおり、「このおじぃの優しさとフトコロの深さにナミダしたのでは。わたしはそうだ。まったく、このおじぃは素晴らしくかわいらしい。愛すべき人物なのだ。」あんな風に人を愛し年をとれるのだろうか。この「ナビィの恋」今年見た映画で一番好きな映画である。「梟の城」「どら平太」と今年は巨匠の時代劇が公開され、期待したが、外れであった。カタルシスがない。新人監督たちはどうだろう、といっても黒沢清監督の「CURE」しかみていないのだが。才能は感じるのだけれど、私は入り込めなかった。出口を求めて模索しているような感じ。
 ちょっと辛口になってきたので、やめよう。
 「MI-2」3点/5点満点、「グラディエーター」同じく3点。皇帝ユリアヌスが出ていたが、関心のある方は「背教者ユリアヌス」(辻邦生著)はお薦めの作品です。
 くだらない事を書いてすみません。


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