心に残る映画37「ハミングバード」




 ジェイソン・ステイサム主演ですが、期待に反して彼の無敵のアクション映画ではなく、彼の作品に従来見られた大団円の結末も用意されていない。でも好きな作品です。アクション映画というより「人間ドラマ」のように思えました。評価が総じて低いのは多分ジェイソン・ステイサムに抱くイメージと人間ドラマ仕立てのストーリーに乖離を感じての評価なのだろうと思います。
 ジェイソン・ステイサムが演じる主人公は、アフガン戦線で激情にかられて無差別殺人を行いPTSDに苦しむ帰還兵。軍の病院に入院していたが、軍法会議にかけられる前に脱走。そしてアルコールに溺れ、ロンドンの片隅で路上生活をしています。映画の最後で分かるのだけど彼がアルコールに溺れているのは、人間凶器と化した自分を封じ込めるための手段なのです。
 そんな彼が、路上生活をともにしていた少女がならず者たちに拉致されたところから話が展開していきます。少女が娼婦にさせられサディストの客に殺されたのを知った彼は「しらふ」になり、次第に人間凶器に戻っていき復讐を果たそうとするのですが、、、。
 一方で、夜の貧民街でスープ提供の奉仕活動をに打ち込む訳ありの修道女と出会い、本来彼が持っている優しい人間性に目覚めるドラマでもあるのです。
 ラストは、自分としてはこう有って欲しいと願う安易なラストではないのだけど、人間ってそうとしか生きられないんだろうなと思わせてくれる作品でした。佳作です。

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