心に残る映画34「レスラー」


 ミッキーローク主演。ミッキー・ロークと言えば1980年代、「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」「ナイン・ハーフ」「エンゼル・ハート」に主演し、その甘いマスクが印象的だったが、その後ボクサーに転身しそのマスクは加齢もあり無残。この映画、彼の実人生をなぞっているようにも思えるのだが、、、。


 救いのない映画に思えた。今同じ境遇の人、今人生を上手く生きられない人、今人生を挫折し心が折れそうな人、今心を病んでいる人が見たら感動するだろうか?この作品を見て感動するのは、人生の挫折を乗り越えた人あるいは、人生結構充実して生きている人じゃないかと思う。
 現役のプロレスラーを続けるランディ(ミッキーローク)はかつてアメリカプロレス界のスターだった。しかしたぶん50歳も過ぎているのだろう老眼鏡をかけないと文字も読めないし、補聴器もかけている。そんなランディはトレーラーハウス暮らし。家賃を滞納し追い出され生活費を稼ぐため仕方なくスーパーのバイトに出かける生活。
 とある週末の試合を終えたランディは長年使用していたステロイドの影響から心臓発作で倒れ、バイパス手術で入院。退院後はジョギングだけで息が上がりまともに運動ができなくなる。引退を決意したランディ。別れたままになってる娘に会いに行き一度は関係の 修復を計る事が出来たが、結局は彼のミスで穏やかな生活は遠ざかってしまう。
 そしてランディが一方的に思いをよせるストリッッパーのキャシディから最期に思いが通じた言葉を聞くが既に遅し。ランディはキャシディを降りきり、死を覚悟し「自分にできるのはこれだけ」とリングへ向かう。
 こんなストーリーだ。娘には見放され、思いが通じた恋人を振りはらい彼の思う滅びの美学に殉じる道を選ぶ。確かに「見ている人」には感動的かもしれない。でも私には救いようのない人生に思えた。


 「それまでの自分の人生の一部を、もう終わったこととして手放す事。失ってしまったことを思うと悲しいけれど、今現在目の前にあることとうまく生きていくことに力を注ぐこと。そしてこれから先に新しい道を探して、自分の人生を価値あるものにしていく努力をすること」が実人生では大切なのではと思う。私はそう思うのだ。映画に自分の思いを投影し過ぎるせいだろうか?

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