心に残る映画32「アンコール」


 


 「アンコール」という邦題が付けられた映画をDVDで見た。しばらく手元にあったのだけど、「老人映画」は見る気がしなかったもの。
 ところが最近、病を得て週に1回程度病院に行く。大病院に行くと受診票というのを持たされる。そこには年齢表示欄があって「6○歳○ケ月」と大きく表示されている。待合室を歩くとほとんど老人で、新参者のお仲間がやってきたなという感じでこちらを見上げる。診察室に入ると、「加齢」という言葉が頻繁に出てくる。年を取ったんだなと実感させられるのである。観念して「老人映画」を見ることにした。
 さて、この「アンコール」という作品。ヴァネッサ・レッドグレイブとテレンス・スタンプが老夫婦役で出演しています。この二人の名優がどんな老夫婦役を演じるのか、特に「ものを言う」「屈しない」という印象の強いヴァネッサ・レッドグレイブがどんな演技をするのか興味を惹かれました。ところが彼女を演じるマリオンは、頑固で無口でシャイな夫アーサーを深く愛し、控えめではあるけれど陽気で明るく社交的な役柄を自然に演じてます。
 この夫婦が深く愛し合っているのを理解することのできるシーンがあります。病弱のマリオンが早く就寝するシーンで、「明日目覚めることができないかもしれないから、キスをして」とマリオンが言い、頑固で無口でシャイなアーサーが素直に応えます。
 そんな二人に、予期していたことですが、マリオンのがんが再発し、マリオンは余命を覚悟することになります。マリオンは抗がん剤治療を選択せず、自宅でのアーサーとの生活と合唱団での仲間との楽しい交流を選択します。しかし彼女の唯一の気がかりは夫アーサーのこと、頑固でほんとうは愛している息子にも心を閉ざしている夫のこと。自分がいなくなればどうなるのか。マリオンは合唱コンクールの予備選のソロの曲に託して夫に思いを伝えます。



DVDで訳も出るのですが、自分で映像を思い浮かべて訳してみました。

「True colors」
You with the sad eyes
Don't be discouraged
Oh, I realize
It's hard to take courage
In a world full of people
You can lose sight of it all
And the darkness there inside you
Makes you feel so small

哀しい目をしているあなた
落ち込まないで
私にも分かるわ
勇気を出すことは 難しいって
世界は 沢山の人で溢れてるけど
目に映るすべて人を見ないでいることだってできるわ
そしてあなたの心の中の闇が感じさせるの
自分の存在は とてもちっぽけだって

But I see your true colors
Shining through
I see your true colors
And that's why I love you
So don't be afraid to let them show
Your true colors
True colors
Are beautiful like a rainbow

でもね 私には あなたの本当の色が見えるの
あなたはひかり輝いてるわ
私 あなたの本当の色を知ってるの
だからこそ 私はあなたを愛してる
だから恐れないで あなたの本当の姿を見せること
あなた自身の本当のカラー
まるで虹のように綺麗だわ

Show me a smile then
Don't be unhappy
Can't remember when I last saw you laughing
If this world makes you crazy
And you've taken all you can bear
Just call me up
Because you know I'll be there

笑顔を見せて
不幸せそうにしないで
最後にあなたが笑ったの いつなのか思い出せないの
もしこの世界が あなたを狂わせているなら
そして何もかもあなたひとりで抱え込んでいるのなら
私を呼んでほしい
わかってるでしょう 私はいつもあなたのそばにいるわ

And I see your true colors
Shining through
I see your true colors
And that's why I love you"
So don't be afraid to let them show
Your true colors
True colors

私には あなたの本当の色が見えるの
あなたはひかり輝いてるわ
私 あなたの本当の色を知ってるの
だからこそ 私はあなたを愛してる
だから恐れないで あなたの本当の姿を見せること
あなた自身の本当のカラー
まるで虹のように綺麗だわ



 マリオンが亡くなった後、色々あって合唱コンクール本番でマリオンの代わりにアーサーがソロで歌うことになります。マリオンへのアンサーソングがラストシーンとなっています。というわけで映画の原題は「Song for Marion」となってます。アーサーが歌うのはLullabye(眠りつく君へ)という歌です。
 マリオンが歌う「トゥルーカラーズ」は、シンディ・ローパーの歌。アーサーが歌う「ララバイ」はビリー・ジョエルの歌です。でも映画を見た人は元歌よりマリオンとアーサーの歌声の方に感動するのじゃないかと思います。思いがストレートに伝わってきます。静かな感動を呼ぶ作品でした。

Lullabye
Goodnight my angel,
time to close your eyes
And save these questions for another day
I think I know what you've been asking me
I think you know what I've been trying to say
I promised I would never leave you
And you should always know
Wherever you may go,
no matter where you are
I never will be far away

Goodnight my angel,
now it's time to sleep
And still so many things I want to say
Remember all the songs you sang for me
When we went sailing on an Emerald Bay
And like a boat out on the ocean
I'm rocking you to sleep
The water's dark
and deep inside this ancient heart
You'll always be a part of me

Goodnight my angel,
now it's time to dream
And dream how wonderful your life will be
Someday your child may cry,
and if you sing this lullabye
Then in your heart,
there will always be a part of me
Someday we'll all be gone,
but lullabyes go on and on
They never die,
that's how you and I will be


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