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２００４年に読んだ本
書名	著者名	出版社名	コメント
世界の中心で、愛をさけぶ	片山恭一	小学館	読んでいると、宇和島や松山の風景をつい思い浮かべてみる。３００万部も売れているらしいけれど、何故そんなに売れたのだろう。愛媛で売れるのは分かるが。どろどろした部分と純粋な部分、人は両面持ち合わせているアンビバレントな存在だ。現実がどろどろしてくると、純粋な部分を求めるのかな？
雨の日のイルカたちは	片山恭一	文藝春秋	小説家は色んな知識を知らないといけないんだなと思う。最近の高校生の実態や、フーゾクのことやイルカの事。そじて栄養学のことやカルトや介護保険のこと、アルカイダのこと。片山さんは真面目で真摯な方だと思う。そういったことを真剣に考えていると今の世の中の状況に対しては小説の中においてもノーと言いたくなる。「世界の中心で、愛をさけぶ」の読者は少し違和感を感じるかもしれない。
蹴りたい背中	綿矢りさ	河出書房新社	史上最年少の芥川賞受賞者の受賞作。読んで２～３ケ月経った今、何の感想もないなぁ。
１３歳のハローワーク	村上龍	幻冬舎	進路を決めかねている模様の１７歳の娘のために購入。しかし、彼女がなりたいと思ってるいる考古学者という職業の解説がない。娘が読まない本書を寂しく読了。村上龍の作品は３０年前の「限りなく透明に近いブルー」以来。村上龍も年相応に大人になった（失礼）なぁという感想を持った。
絵本千の風になって	新井満佐竹美保	理論社	「千の風になって」（講談社）の絵本版。「千の風になって」とは１２行の詩。それを新井満さんがナバホ族のレイラとウパシの物語にしています。
熱帯魚・水草楽しみ方BOOK	佐々木浩之	成美堂出版	今年になって熱帯魚を飼い始めた。熱帯魚を見てると癒されると複数の人から聞かされたから。最初、ネオンテトラなどの小さい魚を飼育した。その時の参考書。しかし癒されるとは、アロワナのような大きな魚がゆったり泳ぐ姿によるものだろう。今は水中の石庭の制作を考えている。
社長を出せ！実録クレームとの死闘	川田茂雄	宝島社	２０年以上にわたって高級カメラのサービス業務に携わった著者が、クレーム解決の実例を紹介。「カメラが故障したので撮影旅行費用百万円弁償しろ」等々のクレームの解決例。クレームが製品の品質向上・技術の進歩に貢献しているということも確かなのだそうです。クレーム解決の仕事には専門知識のみならず相手の気持ちの分かる人間になることが必要とのこと。といいながら、やはりメーカーよりの論理が目につきます。
社長をだせってまたきたか！	森健川田茂雄	宝島社	『社長を出せ！実録クレームとの死闘』の第２弾です。といってもこちらは前作著者川田茂雄氏の経験ではなく、いろいろな業種の企業でおきたクレームの紹介。それに川田氏がもの申す形式。
わすれかけの街まつやま戦前	池田洋三	愛媛新聞社	現在新版が本屋の店頭に並んでいるが、これは昭和５０年に出版された旧版。友人に借りた。私としては、自分の生きた戦後から昭和４０年代までの写真と復元地図を是非作ってほしい。自分のグット・オールドの世界にひたりたい。
山と高原地図５４「石鎚四国剣山」	清家一明	昭文社	登山地図と解説がセットになった山歩きする者には常備本の全面改定版。国土地理院の地図より見やすい。前の版は「石鎚山」だけのものだったけど今回は「剣山」も加わり読者にとってはありがたい。
分県登山ガイド３７愛媛県の山	石川道夫ほか	山と渓谷社	これも分県登山ガイドの新版。情報がアップデートされ、読みやすくかつ見やすくなった。読んでいると、また来週末も登りたいと思いが湧いてくる。
アルペンガイド２７四国の山	石川道夫ほか	山と渓谷社	最近は愛媛の山だけでなく、剣山や三嶺も登るようになり他県の山へもという気持ちが強い。とりあえず日帰りができる四国の山のガイドブックとして購入。空撮した山岳写真がふんだんに使われているので、山の位置が立体的に理解できていい。
隠し剣　孤影抄隠し剣　秋風抄	藤沢周平	文春文庫	山田洋二監督作品藤沢周平原作第２弾と銘打って本屋さんで帯が付いて、平積みで売られている。永瀬正敏、松たか子が主演である。たそがれ清兵衛の宮沢りえは予想に反して良かったが、松たか子は？隠し剣とは一人相伝された必殺の秘剣である。それ故妖しく哀しい運命が剣士と関わる女性に待っている。
らんぼう山日記ただいま雲の上	みなみらんぼう	山と渓谷社	３０年前ウイスキーの小瓶を歌っていたらんぼうさんが山歩きの本を書いている。アウトドアとは無縁と思っていた人が本格的な山登りをしているのには驚きました。カナディアン・ロッキー、ネパール、キリマンジェロ、アルプス等々世界各地の山歩きには圧倒されます。山歩きの楽しさが伝わってきます。
てっぺんで月を見る	沢野ひとし	山と渓谷社	沢野さんは私より１０歳年上だから今年６０歳だと思う。でもこの本は４０歳代の頃の作品。今でも山登りをしているんだろうか。山登りの時、おいしそうにタバコをすうなあ。私は禁煙を最近５０日続けていたが、この本を読んで禁煙を挫折してしまった。
休息の山	沢野のひとし	山と渓谷社	沢野さんの山歩きは私など足下にも及ばない本格的なものです。でもすごく親しみを感じます。彼の鬱屈とした浪人の頃、若いお兄さんとの山登り、婚約者との別れの予感の山、老人ホームのお父さんのこと、定時制高校に通う山好きの息子さんのことを読んでいると、しんみりとでもなんか暖かみを感じます。そして沢野さん本業の絵もなぜか本文同様ペーソスを感じさせます。山歩きはいいなぁと改めて思います。
山の劇場	沢野ひとし	山と渓谷社	沢野さんももうこの作品を書いた時、５５歳。これまでと微妙に趣が違う。高山植物の名前が詳しく書かれていたりする。沢野さんは、あらゆる生き物が深い眠りについた屋久島の深夜、一人目覚める。横には定職に就かない息子も眠る。そして気づく、「私は宇宙や地球、あるいは地上の花々、樹木といった大いなる神秘的な世界に守られている」と。
散歩の気分で山歩き	平野恵理子	山と渓谷社	可愛い色彩のきれいな絵が良いです。勿論文章も女性ならでは観察。山を下りた後の楽しみも男と違って別の楽しみ方があるんだなと納得。東京近郊に住んでいる人はうらやましいと思う。平野さんクラス（失礼）でも、日本アルプスが身近に感じられる。
いま、会いにゆきます	市川拓司	小学館	最初作品の雰囲気が村上春樹と似ているなと思いながら読んでいた。あり得ない状況をあり得ることと思わせる語り口についつい引き込まれる。たぶん私自身、この作品に描かれているような世界であってほしいと望んでいるからだろう。読者評を見ると、皆さん感動し泣いている。期待したが私は泣けなかった。でも友人にも勧めたい作品である。
四日間の奇蹟	浅倉卓弥	宝島社文庫	「このミステリがすごい！　大賞」の第１回受賞作ということですが、ミステリーではありません。純文学だと思います。文章も格調高く、構成にも破綻がない、静かにストーリーが展開するが読むものを引きつける魅力を持っている。何より悪者が登場しないところが私は好きです。悪がないとスパイスがなく面白みにかけるといった俗説も排除する。でも奇蹟とはイエスの時代から自己犠牲から生まれるものだろうかと思うとちょっと寂しい。この作品も友人に勧めたい作品。
長崎乱楽坂	吉田修一	新潮社	私が子供の頃、秋祭りの御輿の季節になると決まってみかける遊び人のかっこ良い背の高いお兄さんがいた。いつもきれいな女性を連れていて、年下の男にもちやほやされていた。そのお兄さんを最近偶然街で見かけたことがある。当時の面影は全くなくみすぼらしく哀れな老人になっていた。当時、我が家のアパートには種々雑多な職業を持つ人達が住んでいた。彼らはどんな風にその後を生きたのだろう？この小説を読んで私は自分の上記の原風景を思い出していた。そして、私は次男で「悠太」だったのだと改めて思った。
背教社ユリアヌス	辻邦生	中央公論社	辻邦生の作品は、大学に入学した時、寮の先輩に勧められて「廻廊にて」「安土往還記」「夏の砦」「嵯峨野明月記」と読み進めて、ユリアヌスを読みたいと思いながらそのボリュームと本代の高さに躊躇していたが、帰省途中に寄った東北大学の生協で値上がり前のユリアヌスを見つけて買った記憶がある。北杜夫さんも書いているとおり、「一章を読み終わらぬうち、たちまち我々を魅了し、息つくまもなくぶ厚い人間と歴史の奔流の中へと巻きこんでゆく。」　３０年前に読んだ時は、時代の雰囲気を生で感じることのできるような物語の面白さに加え、そのスケールの大きさに圧倒されたのだが、今回読んでみると、皇帝ユリアヌスの行政官であることと哲学者であることの狭間で揺れながらも常に誠実に生きようとするそして許されない恋にも真実と品格を求めようとするユリアヌスの内心の深さとその強靱さに圧倒された。
アフターダーク	村上春樹	講談社	村上春樹２５周年記念作品らしい。「風の歌を聴け」から２５年。私が好きな作品は、「羊をめぐる冒険」「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」あのしんとした感じが好きです。勿論他の作品も好きですが。今回の作品は、次回長編作の習作といった感じではないのか？
ハリー・ポッターと不死鳥騎士団	J.Kローリング	静山社	五巻目となる本書はボリュームも第一巻と比べる倍以上なのだけど、面白さと目新しさは薄れているように思える。ポッターの心の動き等細部の肉付けが物語に奥行きを与えているかというと、逆に物語りの進行を妨げている。そしていつものように、「あの人」は最後に出てきて、そして姿を消す。ワンパターン？

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