2006.6.25〜随時

県内美術館放浪記


 美術館巡りが趣味です。約1000円で贅沢な気分を味わえるので、東京に出張等で出かけた時には必ず美術館に寄るように心がけています。例えば新国立美術館では必ず魅力的な企画展が開催されています。ただ東京には新国立美術館や上野の国立西洋美術館といった大きな美術館以外にも多くの上質な私設の美術館があり、旅行日程にあわせて美術館のスケジュールを調べることとしてます。
 私設の美術館は東京だけではありません。松山周辺にも上質な私設美術館があるのでご紹介します。
 美しいものに接すると、心が豊かに穏やかになります。美術鑑賞に限らず、例えば本を読むと知識が深まり、物事の正しい理解に繋がります。また映画を見てそこに描かれた別の人生・生き方に向き合うことにより世の中の多様性が理解できます。
 誤解を恐れずに言うと「正しい」科学・文化・芸術は、「寛容」の精神を醸成することに繋がるものじゃないかと私は考えます。そしてそれらは、人生に彩りを与えてくれることにもなるんじゃないかと思います。
セキ美術館http://www.seki.co.jp/mus/
場所:松山市道後喜多町4−42
電話:089-946-5678
開館日:水曜〜日曜及び祝祭日(10:00-17:00)
入館料:大人700円
道後の閑静な住宅街に建てられた美術館です。セキ印刷の社長さんが個人で収集した絵画や彫刻を展示しています。年4回展示品の入れ替えがあるようです。
 個人の趣味で収集されているので、展示品には収集家の好みがよく現れています。なんていうのか上品な作品群です。1階は日本画、中2階と3階は洋画、2階はロダンの部屋、地階はハイビジョンギャラリーとなっています。
 いつも気になる絵は、岡鹿之助の「三色菫」。特別な意味はないのですが、中学時代美術の授業で初めて油絵を描きましたが、その時描いたのがやはり菫でした。画集の中から好きな作品を選んだのですが、なんとなく思い出されていつも気になります。
 1階には大きなオルゴールが設置されています。受付の人にお願いすると、鳴らしてくれます。この美術館には、学芸監督がいて作品ごとの解説パンフも作られています。とてもしっかりと運営されている美術館だと思います。定期的に特別展も行われています。
ふるさと画苑
古茂田守介展示館
場所:松山市道後湯月町5-28
開館日:金・土・日・祝祭日(9:30-17:30)
入館料:大人500円
 場所は道後の市営墓地の近く円満寺の裏あたりです。「近藤さん」がお父さんの代から収集した愛媛県ゆかりの画家の作品を自宅を改造して展示されている「美術館」です。その中でもやはり古茂田守介の作品がメインだと思います。「なんでも鑑定団」に出品した後評判になって訪ねてくる人が増えたので自宅を改造して展示室としたそうである。
 守介の作品のほか、お兄さんの古茂田公雄さんの作品や智内兄助、柳瀬正夢、重松鶴之助、猪熊弦一郎らの作品が展示されている。私が最近訪ねた時は、「寺坂公雄&寺坂行雄兄弟展」が開催されていた。
三浦美術館
ミウラート・ヴィレッジ
http://www.miuraz.co.jp/miurart/
場所:松山市堀江町1165-1
電話:089-978-6836
開館日:水曜〜日曜(9:30-17:00)
入館料:大人600円
 この美術館も私設の美術館です。三浦工業の創設者、三浦保さんの収集作品及び三浦さん自身の作品を展示した美術館です。セキ美術館の関さんが鑑賞家であったのに対して、三浦さんは自身、個性的な創作者であったゆえか、その収集した作品もかなり強烈な個性をもった作品ばかりです。
 陶板画 約200点、絵画 約300点、陶磁器 150点、ローマングラス 約60点、印籠 約20点が収蔵され、私が行った時はその中から40点が展示されていました。また、テラスや敷地内にも彫刻や陶板画が展示されています。
エリエール美術館
場所:松山市柳谷町794-1
電話:089-977-9700
開館日:水曜〜日曜(10:30-16:30)
入館料:無料
 エリエール美術館は、大王製紙が収集してきた絵画が展示されています。収集作品については、セキ美術館や三浦美術館が個人の好みが色濃くその収集に反映されているのに対して、この美術館の収蔵品はというと、?です。
 入り口からロビーまでのエントランスにはシャガールの「ダフニスとクロエ」の作品群が並べられ、1階の展示室にはビュフェの巨大な「浜辺」という作品が目に飛び込んできます。私は好きではありませんが。地下に下りると、喫茶店があり、水の中庭を眺めながめることができます。ローランサンの小品や現代作家の作品があります。そのほか、藤田嗣治やユトリロ、海老原喜之助、田崎廣助らの作品もさりげなく置かれています。
 それとこの美術館のもうひとつの特徴は、この美術館自体が安藤忠雄の設計ということもあり、鑑賞の対象になることです。瀬戸内海を遠望できる緑豊かなゴルフ場の中にあることもあり、日常の雑事からひと時抜け出せる空間となっています。

 残念ながら2015年4月29日で閉館になってしまいました。跡はリゾートホテルになるようです。
久万美術館http://www.kumakogen.jp/culture/muse/
場所:愛媛県上浮穴郡久万高原町菅生2番耕地1442-7
電話:0892-21-2881
開館日:火曜〜日曜(9:30-17:00)
入館料:大人500円
 久万美術館は公立の美術館としてはその収蔵品が特異で個性的である。その理由は、この美術館の設立経緯が、久万町出身の実業家、故井部栄治氏が収集されたコレクションの寄贈を受けたことによる。井部コレクションの収集の指南役は、松山出身の美術評論家(きまぐれ美術館)であり収集家でもあった洲之内徹
 洲之内徹は生まれ故郷松山、愛媛を嫌っていたが、愛憎半ばいやほんとうは愛していたのだと私は思いたい。彼の死後、彼自身の貴重なコレクションは愛媛に帰るチャンスもあったと聞くが当時の地元行政の理解のなさもあり、仙台美術館のものとなった。残念である。
 しかし、彼の指南を受けた井部栄治さんが収集したコレクション(第2の洲之内コレクションというべきもの)は愛媛に残った。村山 槐多、萬 鐵五郎、海老原喜之助、高橋 由一、伊丹 万作、鳥海青児、重松鶴之助らの絵画作品や、陶磁器等の館臓品が2〜3ケ月毎に展示替えされ、公開されている。
今治市立玉川近代美術館http://museum.city.imabari.ehime.jp/tamagawa/
場所:今治市玉川町大野甲86-4
電話:0898-55-2738
開館日:火曜〜日曜(9:00〜17:00)12月29日〜1月3日
入館料:大人500円
 今治市(旧玉川町)出身の故徳生忠常氏が、全資金を提供して「心温まる名画の美術館」として昭和61年12月3日に創立。ふるさとに寄贈されたものです。
 地元画家の作品のほか、黒田清輝や松本竣介など近代に活躍した日本画家、パブロ・ピカソやサルバドール・ダリなどの海外の画家の作品も展示されていてびっくりさせられる。学芸員もいてしっかりした美術館です。
 日本画家ではほかに中村彝、海老原 喜之助、熊谷 守一、古茂田 守介、児島 善三郎、村山槐多、萬鉄五郎など洲之内徹さん(松山出身の美術エッセイスト)好みの画家の作品が数多く展示されているのも、愛媛の美術館ならではのものだと思います。朝倉響子の彫刻が数多く展示されていますが、著名な彫刻家の高田博厚の作品もひとつさりげなく展示されています。
畦地梅太郎記念美術館http://www.city.uwajima.ehime.jp/www/contents/1283996790015/html/common/5567b9c9004.html
場所:宇和島市三間町務田180-1
電話:0895-58-1133
開館日:水曜〜月曜(9:00〜17:00)
入館料:大人300円
 畦地梅太郎は、1902年愛媛県北宇和郡二名村(現在の宇和島市三間町)に生まれ、1999年96歳の生涯を閉じた版画家。10代で上京して油絵を独習、当初油彩画家を志していたが、船員、石版印刷工などを経て、24歳の時に内閣印刷局に就職し、仕事の空き時間に職場にある材料で鉛版画を試みたことがきっかけで、版画の道へ進んだ。
 1937年夏に軽井沢へ出かけ浅間山に魅せられ、山を制作の主題に定めて山の風景を描いた作品を多数発表し、創作版画家として独自の世界を確立する。戦争中の満州への単身赴任などを経て、第二次世界大戦後は「山男」シリーズを発表していく。
美術館は道の駅「みま」の中にあり、約300点の収蔵作品を計画的に公開・展示しています。梅太郎が実際に使用していた道具や愛読していた本などが置かれたアトリエが復元展示されており、「梅太郎の世界」にふれることができます。グッズの販売も豊富です。

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